機動戦士ガンダムAGE (1)スタンド・アップ (角川スニーカー文庫) - こいさんの漫画・ライトノベルの感想

機動戦士ガンダムAGE (1)スタンド・アップ (角川スニーカー文庫)

| コメント(4) | トラックバック(0)

ネット上で「ガンダムAGEの小説版は出来が良い」という話を聞いて読んでみました。
ビックリしましたね。
あの穴だらけの演出・脚本をよくぞここまで。
元がダメならどう肉付けしたって無理だろうと思ったのにここまでやってくれるとは思わなかった。

何と言ってもエミリーの扱い。
が全然違います。
アニメ版のフリットはひたすら「ユリン、ユリン」でエミリーの事はカケラも気に留めていなかった。
なのに結婚したんで物凄い違和感ありましたね。
小説版のフリットはエミリーを憎からず想っている。
逆にユリンはコクピットに乗せた時に意識するものの、後は不思議な感覚(Xラウンダーの前兆)の方を気にしている。
ユリン教の信者みたいだったアニメとは違い、あくまでも「たまたま助けた不思議な女の子」という扱いでしか無い(第1巻の時点)。

北欧系のふわりとした金髪に透けるような白い肌。
エミリーはかなりの美少女で、クラスの人気者である。
彼女に甲斐甲斐しく世話を焼かれるフリットはやっかみの対象になっている。
そのエミリーはというと、淡い想いどころじゃなくて完全にフリットに惚れています。

寝食を削ってまでガンダム開発に打ち込んでいる姿に心を打たれたからです。
その為食事や身の回りの世話まで代わりにやってあげる世話女房っぷり。
完全に通い妻状態。
のち結婚するという説得力を十分に持たせています。

フリットの天才設定&努力家ぶりが徹底されている。
7年前にファーデーンに来て、学校始まって以来の成績を叩き出しているフリット。
更に事ある毎にUEの脅威を唱えるのですが、軍や学校の生徒、クラスの同級生にも相手にされない。
ただのミリタリーオタク。
ちょっと頭の良いガキのたわ言。
そう扱われることに猛烈な歯がゆさを感じている。
だからこそガンダムを作ってただの子供じゃないことを証明しようと躍起になっている。

その根底にあるのはUEに対する猛烈な憎悪と両親や友人を助けられなかった自責の念。
僕の母さんは、生きながら焼かれたんだ
このセリフです、まるで世界の使命を一身に背負ったかの様な重々しさです。

持てる時間の全てをガンダムの開発につぎ込んでいる。
更に集中力とその持続力が尋常じゃない。
一度作業を始めると寝食を忘れて何十時間も作業に没頭し周囲の声が耳に入らなくなる。
こちら凄腕の技術者にままある性分ですね。
その為エミリーが身の回りの世話をしているという話です。

更にグルーデックがエミリーに言います。
あいつは異能の天才なのだ。
我々にガンダムが作れるなら彼を巻き込んだりはしない。
中央の技術者が何人がかりでも出来なかった事を10代の彼はやってのけた。
それがどんなに凄いことか分からぬ君ではあるまい、と。 

ディケはフリットと仲良く無かった。
いわゆるガキ大将的なポジションです。
ガリ勉で無愛想なのにエミリーに好かれている。
ディケ自身もエミリーに憧れている為、フリットの印象は良くなかった。
ところがUE襲撃で考えを改めることになります。
あいつは7年も前にこんな目に遭っていたのか。
更に機械工学を専攻していた事から成り行きでAGEシステムの起動を手伝うという展開になっています。

その後は戦闘でもそれ以外でもフリットの良きサポート役を務める。
後半彼がフリットに言ったことが凄く印象的です。
エミリーの好意を明確に指摘した上で、
お前が戦場に行けばエミリーも付いて行くんだぞ。
それが分かっているのかと詰め寄る。

フリットは本来技術者であり兵士でもパイロットではありません。
なのに自ら戦地へ向かおうとするフリットに釘を刺しています。

DODS理論は机上の空論。
ドリルビームとも言えるドッズ理論自体は広く知られていたけれど、机上の空論だと相手にされてなかった訳です。
それがAGEシステムの創りだしたドッズライフルによって正しさが証明されます。
フリットは長年の不遇と遂にUEに一矢を報いたことで感極まって泣いてしまう。
遂に自分の努力が結実した。
初AGEシステム、初DODSライフルのお披露目はかなり力の入った演出となっています。

少年兵への認識がアニメと違う。
アニメ版ではウルフやララパーリーがフリットの戦闘参加を大歓迎。
お前等おかしいだろという気持ちで一杯でした。
小説版ではよりまともな対応を見ることができます。

まずグルーデックはフリットを戦場に引っ張り出す事の悪徳を知った上で活用している。
罪は全て終わった後に償うというスタンスです。
ミレースは子供を戦場に引き出すことにかなりの良心の呵責を感じています。
しかし現状他に手が無いと止むを得ず静観というポジションです。

最も具体的だったのはウルフです。
彼はアニメ同様フリットに会うなりガンダムをよこせと言って来ます。
最高のパイロットが最高のモビルスーツを使うのは当然。
そう言ってますが、フリットをガンダムから降ろそうとする意図が含まれている。
理由は地方紛争で何度も少年兵相手の鎮圧を経験しているから。 
子供に銃を向けるのも向けられるのも勘弁という思いがあったからです。 

これに対しフリットはガンダムに乗るのは誰に強制された訳でもない自分の意思であること。
その根幹にはUEに両親を殺された悔しさがあり、どうしても自分でケリを付けたいことが明言されています。 

撃墜ゼロのエースパイロット?
ウルフの紹介を聞いて呆れるフリット。
一度もUEに勝った事が無いのにエースなんておかしい。
敵機を5機以上撃ち落さないとなれないと指摘しています。
この話にもちゃんと裏がありました。

フリットも知らなかった真実はこうです。
地球連邦として統一された後も地方紛争は各地で起こっていた。
その鎮圧に駆り出された結果敵機を撃墜。
UEではなく同じ人間相手の戦争をした結果のエースだった。
この話は前述の少年兵の話とも繋がっています。
更にその後ファーデーンで遭遇したザラムとエウバの争いにも説得力を持たせている。
公言出来ない戦いで得た公の称号という矛盾をはらんでいます。

こっちをそのままアニメ化すれば良かったのに。
子供にはちょっと難しい話が含まれるかも知れません。
でもそれで良いんです。
成長を促すには現在の能力より若干高めの目標を立てるもの。
或いは子供には全て理解出来ないかも知れません。
しかし成長した時に見直して当時は分からなかったけど、こういう意味だったのか と思える。
それが息の長いコンテンツになるコツじゃないでしょうか。

私自身初めてガンダムを見た時の印象は、
同じロボットばかりで面白く無い。
でした。それが後になって量産型の概念を理解してから見ると面白い。
21世紀のスタンダードを目指すならそういう作りにした方が良いのではないでしょうか。

オマージュも結構ありますね。
とは言ってもSEEDみたくモビルスーツを丸パクリという訳ではありません。
UEに襲撃され死んだクラスメイトに駆け寄るディケ。
連邦軍は戦場を無駄に拡大しているというフリットの指摘。
ここらへんは「機動戦士ガンダムF91」を思い出しますね。

また馴染みのジェノアスパイロットが全滅するくだり。
お前を守れるパイロットはもう私一人というクライネ中尉のセリフ。
これ「機動戦士Vガンダム」のコニー・フランシスに相当します。
有名どころじゃなくてちょっとマイナーな所から持ってきているのがポイントです。

機動戦士ガンダムAGE (1)スタンド・アップ (角川スニーカー文庫)

新しい記事: 琴浦さん1 (マイクロマガジン☆コミックス) [コミック] 噂には聞いてたけど森谷の実家の設定が違うのね。

古い記事: 僕は友達が少ない 4 (MFコミックス アライブシリーズ)

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://koisananime.com/public_html/mt5/mt-tb.cgi/1802

コメント(4)

こんばんは、アニメの方の最終レビューでもコメントさせてもらったんですが自分も同じことを感じたのでコメントさせて下さい。

作品データベースさんというところにも書いたんですど、やはりフリット編は必要なものを書かなかった・書いていなかったのが悪評の原因だと思いました。

しかしながら、自業自得とは言え「1991」と言われまくるのはさすがにアニメファンとしては悲しくなりました。

こいさん様は視聴中止なされて久しいでしょうが、自分は一応視聴継続しています。
アセム編もいろいろと難ありますが、なんとか見れるレベルです。
ラジオの方で声優さんがあともう少し学生編の尺が欲しかった等、作品への意見があるというのを聞いてやはり現場でもおかしいんじゃないかと思われる人がいて少しは安心しました。
某作品で監督夫妻が暴走してスタッフの意見聞かなかったという前例がありますからね。
私としては打ち切りという最悪の結末だけは避けてもらいたい思いです。

愚痴っぽいコメントしてすみませんでした。次回更新も楽しみに待っています。ありがとうございました。

小説はすごくまどもですね。

正直言うと、私は日野さんが子供を舐めていると思います。
ガンダムは人と人の戦争ドラマをメインするアニメです。そしで子供向けだからこそ、戦争の悲惨さを放送できる、かつ子供のトラウマにならない程度で演出すべきと思います。

そいう意味では、私はUCの1話と4話すごく好きです。1話で戦争はただ起きるだけで、人は死んでいくと、4話で戦争で大切のもの失った人たちが、復讐のためにまた戦争する、という終わらない悲惨の連鎖。教育の意味も含めで、戦争をテーマする子供向けのアニメなら、最低戦争の意味と悲しみを子供に教えなげれなりませんと思います。

AGEのアニメは、まったく民間人の死者が出てません。それでは戦争の怖さと悲しさを教える到底無理です。

視聴お疲れ様です。
見てしまう気持ちもわかります。
それが「ガンダム」の魔力なんじゃないかと。


ただ納得が行かなかった場合は視聴者として「NO」を突きつける必要はあると思います。
じゃないと「ガンダム」って付ければ何でも売れると勘違い。
粗製乱造されたガンダムが大量生産されかねないので。


一番悲しいのはガンダムシリーズでありながら、炎上商法で注目度を稼いでる所です。
そういうアニメじゃないだろうと。

富野監督自身が「子供向けだと思って舐めるな」というスタンスだったと思います。
だから生々しい人間ドラマや人死にを容赦無くブチ込んできたんじゃないかと。
まあ、やりすぎた部分もありましたが。

人が死ねばいいのかと言うとそうではありません。
AGEでもブルーザーやボヤージが死んでいますがああいう演出されたものじゃない。
理不尽&呆気無い死。
こんな死に方を強制されるなんて御免だという物を描いて欲しかったですね。
ユニコーンではダグザ、ギルボア、ロニの死がその様に描かれていました。

コメントする

2019年1期のアニメ
(まだレビュー中)

相互リンク

Blogランキング

PVアクセスランキング にほんブログ村

人気ブログランキングへ

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.02

アクセスランキング ブログパーツ

レビュー作品一覧

あいうえお順です

ピックアップ

Powered by amaprop.net