パパのいうことを聞きなさい!(集英社スーパーダッシュ文庫)
著:松 智洋/絵:なかじま ゆか
●19歳でパパ!?
姉夫婦が飛行機事故で行方不明になった為、3人の姪の保護者になってしまった主人公:瀬川祐太の奮戦記です。
若者が大きい子供の親代わりという設定は1980年代にあった気がしますが、最近はあまり聞きません。
恋愛に持って行きにくいですし「親同士の再婚で義理の妹と同居する事になって...」という作品の方が多いからだと思います。そんな懐かしさと珍しさから興味をそそられて購入しました。
昔のドラマなら主人公は最低でも就職しているところですが、ライトノベル風のアレンジか学生となっています。
祐太は幼い頃に両親を亡くし、姉が母代わりとなって大学まで行かせてくれたという身の上。
学生であり就職していないので収入はバイトしかありません。
しかも奨学金貰って通学している為、今すぐ学校を辞めて働くわけにもいかない状態です。
(大学中退→借金だけが残る)
そんな状況で三人の子供を面倒見るのがいかに大変かをわりと丁寧に描写しているのが好感です。
・施設もしくは1人ずつ引取という親族から逃げてきた為、姪の自宅(一軒家)に戻りづらい
・姉夫妻の保険金などの話もつけずに出て来たのでお金に苦労する
・家事など生活に追われ、主人公と姪の学業に悪影響が出る
・女の子、特に思春期の長女とワンルームでの同居が大変
といったシーンがかなり細かく描かれています。
3人の姪も
・中学生(14歳)で堅物タイプの空
・小学生(10歳)にして小悪魔的魅力を振りまく美羽
・幼女(3歳)で天真爛漫なひな
ときっちり差別化された魅力的なキャラクターとなっています。
因みに上2人は夫の連れ子、末子だけが姉の実子、実の姪となります。
これに加えて主人公の大学に通う
・危ないオタクであるサークルの部長
・祐太の親友であり、モテモテで家事万能な仁村
・物凄い美女だけど変人で、主人公の姪にご執心の織田莱香(らいか)
がバランス良く絡んで来る、なかなか面白い作品だと思います。
またライトノベルでありがちな、金と権力を振り回すだのチャランポランだのといった「悪い大人・ダメな大人」ではなく、叔母のようなしっかりとした大人が出てきているのも好感です。
作者は現在アニメ放送中「迷い猫オーバーラン」を執筆中の松智洋。
正直こちらをアニメ化した方が面白そうだと感じました。
3巻までしか出ていないのでまだ早いとは思いますが。
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